01 研究概要
私たちの研究室では,行動科学・心理生理学・神経科学の分野で,ヒトの睡眠と眠気に関する研究を行っています。現在は主に(1)眠気の理解,(2)睡眠の心理学的機能の解明,(3)睡眠・覚醒の新規評価法の開発の3つのテーマで研究を行っています。 (1)眠気の理解:睡眠不足の状態では,覚醒度が下がり,パフォーマンスが低下しますが,このときの刺激に対する反応時間を見てみると,速く反応できる時と,眠気に耐えられずに反応が遅れてしまう時が現れます。この現象がなぜ生じるのかはまだ十分理解されていません。この現象の理解を目指して,その特徴や,神経学的・生理学的基盤を明らかにするための研究を進めています。また,従来の睡眠・覚醒モデルでは説明ができない眠気を規定する要因を明らかにするための取り組みも行っています。 (2)睡眠の心理学的機能の解明:睡眠の機能を解明するための研究も行っています。特に,NREM睡眠やREM睡眠の心理学的機能に関する検討を行っており,睡眠中に刺激を呈示することで睡眠に介入し,その心理学的影響を検討しています。 (3)睡眠・覚醒の新規評価法の開発:現在の技術は睡眠や覚醒を計測するために,脳波計測やパフォーマンステストの実施を必要としています。より簡便に睡眠や覚醒状態を計測する手法を確立するための研究に取り組んでいます。
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02 主な論文
Abe, T., Ogawa, K., Nittono, H., & Hori, T. Neural generators of brain potentials before rapid eye movements during human REM sleep: A study using sLORETA. Clinical Neurophysiology, 119, 2044-2053. 2008.
Abe, T., Nonomura, T., Komada, Y., Asaoka, S., Sasai, T., Ueno, A., Inoue, Y. Detecting deteriorated vigilance using percentage of eyelid closure time during behavioral maintenance of wakefulness tests. International Journal of Psychophysiology. 82, 269-274. 2011.
Goel,N.,* Abe,T.,* Braun, M.E., Dinges,D.F. Cognitive Workload and Sleep Restriction Interact to Influence Sleep Homeostatic Responses. SLEEP. 37(11),1745-1756. 2014. (*Co-first authors)
03 経歴・受賞歴
経歴
2005年4月-2008年3月 | 日本学術振興会 特別研究員(DC1)(広島大学大学院、博士過程後期) |
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2008年4月-2010年3月 | 財)神経研究所 附属 睡眠学センター 流動研究員 |
2010年4月-2013年5月 | 財)神経研究所 附属 睡眠学センター 研究員 |
2011年6月-2013年5月 | 日本学術振興会 海外特別研究員(Division of Sleep and Chronobiology, University of Pennsylvania School of Medicine, Postdoctoral Fellow) |
2013年6月-2016年3月 | 宇宙航空研究開発機構 宇宙医学生物学研究グループ 宇宙航空プロジェクト研究員 |
2016年4月-2017年10月 | 産業技術総合研究所 自動車ヒューマンファクター研究センター 主任研究員 |
2017年11月- | 筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構 准教授 |
受賞歴
2004年 | The 15th World Congress of the International Society of Brain Electromagnetic Topography, Young Scientist Award Creative Research Award. |
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2009年 | 第14 回日本睡眠学会研究奨励賞 機関誌掲載論文部門 |
2011年 | 三井住友海上福祉財団賞 交通安全等部門 |
2012年 | 第17 回日本睡眠学会研究奨励賞 非臨床系論文部門(非疾患対象) |