カスパー・フォークトKasper Vogt

所属:筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構

研究テーマ

基礎生物学

睡眠とその制御—大脳皮質の徐波の役割

01 研究概要

睡眠時間が2~3時間ほど短くなるだけで、私たちは不快感を覚え、たとえば運転などの日常的なタスクの作業効率が著しく低下します。幸運なことに、眠ることでその状態から回復することができます。脳の機能を回復させるためには、睡眠ステージの中でも特に深いとされる徐波睡眠が重要であると考えられています。徐波睡眠中には、皮質にある神経細胞群のオン(活動)・オフ(静止)が強く同調し、脳波(EEG)に特徴的なパターンが現れます。このオンの状態における神経活動のパターンは覚醒時とよく似ていますが、じつは重要な違いがあることが、我々の最近の研究からわかってきています。私たちの研究グループでは、徐波睡眠中の皮質神経細胞およびそれらが構成するネットワークを詳しく調べることで、特徴的な神経活動パターンにどのような機能があり、どう制御されているのかをつきとめようとしています。

02 主な論文

Locus coeruleus and dopaminergic consolidation of everyday memory. Takeuchi T, Duszkiewicz AJ, Sonneborn A, Spooner PA, Yamasaki M, Watanabe M, Smith CC, Fernández G, Deisseroth K, Greene RW, Morris RG. Nature. 2016 Sep 15;537(7620):357-362. doi: 10.1038/nature19325. Epub 2016 Sep 7

An Adenosine-Mediated Glial-Neuronal Circuit for Homeostatic Sleep. Bjorness TE, Dale N, Mettlach G, Sonneborn A, Sahin B, Fienberg AA, Yanagisawa M, Bibb JA, Greene RW. J Neurosci. 2016 Mar 30;36(13):3709-21. doi: 10.1523/JNEUROSCI.3906-15.2016

Diversity in GABAergic signaling. Vogt K. Adv Pharmacol. 2015;73:203-22. doi: 10.1016/bs.apha.2014.11.009. Epub 2015 Jan 14.

03 経歴・受賞歴

1993年にスイスのベルンにある医科大学を卒業後、1996年に医学博士号を取得。1996年から2001年にかけて、カリフォルニア大学サンフランシスコ校のRoger Nicoll研究室およびハーバード大学医学大学院のWade Regehr研究室にてポスドクとして神経科学の研究に従事しました。2002年にスイスのNational Assistant Professor's Grantを獲得したことをきっかけに、自分自身の研究テーマを立ち上げました。2006年にバーゼル大学の助教に就任し、最新のイメージング技術を用いてGABA作動性ニューロン系の研究を行っていました。2014年にIIISの准教授としてつくばに来ました。

もっと知りたい!Q&A もっと知りたい!Q&A

なぜ研究を志したのですか?

新しい事実を発見することに喜びを感じたから

研究者になりたいと最初に思ったのがいつだったかは、はっきり覚えていませんが、サイエンスをやればやるほどのめり込んでいったので、その思いは徐々に育ってきたのだと思います。世界中の科学者と一緒に情熱とモチベーションを分かち合いながら研究活動を進めていけるのは大きな喜びです。

最近ハマっているものは?

日本文化を知ること

趣味と言うほどのものではないかもしれませんが、「日本語を覚える」ことにけっこうな時間を割いています。これが非常に大変な一方で、新たなものの見方に気づくことができます。