01 研究概要
私たちの研究室では、睡眠の問題を抱える当事者やその周りの方がよりよい生活を送れるように、臨床心理学とテクノロジーという2つの手法で以下の研究を進めています。
・デジタル技術を用いた次世代の心理療法の開発
・日常生活下や心理療法中のマルチモーダルデータによる不眠症治療の反応性予測
・睡眠障害に対する心理療法の社会実装研究
・周産期から就学前幼児、児童・思春期の睡眠の問題と養育者のメンタルヘルス
・生成AIを用いた共感力の自動評価、模擬患者さん・セラピストチャットボットの実装
・医療コミュニケーションに関する研究
研究室サイト |
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02 主な論文
Mari Inoue, Shun Nakajima(責任著者), Naoko Inada, Hitomi Oi, Naoko Sato, Yuri Miyazaki, Hikari Takashina, Hirokuni Tagaya, Yoshiko Adachi, Hironori Kuga. “Development of the Parenting Behavior Checklist to Promote Preschoolers’ Sleep (PCPP).” Behavioral Sleep Medicine, August, 1–11, 2023.
佐藤直子,稲田尚子,中島俊(責任著者),大井瞳,井上真理,宮崎友里,足達淑子,「就学前幼児の母親の抑うつと母子の睡眠との関連」,保健医療科学,71巻3号,432-439頁,2022.
Megumi Hazumi, Shun Nakajima, Yoshiko Adachi, “Is 4-month-old infants' night waking affected by mothers' responses to them? A cross-sectional survey in Japan”, Nursing Open, Vol.8(2), pp. 882-889, 2021.
大井瞳, 中島俊, 宮崎友里, 井上真里, 堀越勝,「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)としての遠隔認知行動療法の役割と限界」,認知行動療法研究,47巻2号,119-126頁,2021年.
Shun Nakajima(責任著者), Yoko Komada, Taeko Sasai-Sakuma, Isa Okajima, Yutaka Harada, Kazue Watanabe, Yuichi Inoue, “Higher Sleep Reactivity and Insomnia Mutually Aggravate Depressive Symptoms: A Cross-Sectional Epidemiological Study in Japan.” Sleep Medicine, Vol. 33, pp130-133, 2017.
03 経歴・受賞歴
経歴
茨城県常総市生まれ | |
2008年 | 北海道医療大学大学院心理科学研究科修士課程臨床心理学専攻 卒業 |
2008年 – 2010年 | 医療法人社団玄洋会北海道メンタルケアセンター 常勤心理士 |
2010年 – 2014年 | 東京医科大学睡眠学寄附講座 助手 |
2014年 | 東京医科大学大学院医学研究科・臨床研究系専攻博士課程 卒業 |
2014年 – 2015年 | 東京医科大学睡眠学寄附講座 助教 |
2015年 – 2017年 | 医療法人社団絹和会睡眠総合ケアクリニック代々木 主任心理士 |
2017年 – 2018年 | 帝京大学文学部心理学科 助教 |
2018年 – 2019年 | 帝京大学文学部心理学科 講師 |
2019年 – 2023年 | 研究開発法人国立精神・神経医療研究センター認知行動療法センター 臨床技術開発室長 |
2023年 – 現在 | 筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構 准教授(PI) |
受賞歴
2013年 | 日本ストレス学会機関紙 ストレス科学 年間最優秀論文賞(筆頭著者) |
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2014年 | 日本ストレス学会機関紙 ストレス科学 年間最優秀論文賞(筆頭著者) |
2022年 | 日本認知・行動療法学会第48回大会ダイバーシティ推進ポスター賞(銀賞)(責任著者) |
なぜ研究を志したのですか?
臨床に活かす
修士課程卒業後、臨床心理士として精神科クリニックに勤務していましたが、当時お世話になっていた先輩から“睡眠障害に対する心理療法が熱い!”と研究の道に誘っていただいたことがきっかけです。睡眠を学べば学ぶほど、精神科の患者さんの困りごとの解消に睡眠医学の知見が役立つことを痛感し、臨床に生かすことができればと自分でも研究を行うようになりました。「(あなたは)臨床のほうが向いている」というお言葉をいただきますが、援助職にとって臨床 or 研究のゼロイチ思考はもったいない精神で仕事をしています。
2研究室の「ウリ」はなんですか?
ゆるくつながり、共に創る
自分達の専門性と研究に費やせる時間には限りがあるので、自分たちだけで研究に取り組むのではなく、共通の問題意識を持つ基礎研究者や患者さん、一般の方々、企業といった多様な方々とコラボレーションして研究を進めています。このような“共創”は研究力の向上や若手研究者の質のよい育成にもつながると言われています。かかわる方が増えるとコミュニケーションに要する時間も増えますが、オープンマインドな研究者の姿勢が研究を発展させるという信念から、研究室全体でオープンなかかわりを心掛けています。
最近ハマっているものは?
ビカクシダ栽培・アウトドア・アート
着生シダ植物で、鹿の角のように葉が伸びるビカクシダ(コウモリラン)の栽培にはまっています。手がかかる植物ですが、その分成長も早く、増えてきた株を友人におすそ分けして、栽培仲間を増やしています。茨城にきてからは自然が近く、テンカラ釣りを再開し、地形図を見ながら車を走らせ、釣りやキャンプをして楽しんでいます。また若手アーティストの手ごろな値段で購入できる作品をコレクションすることにもはまっています。同年代や若い人が作る作品は鼓舞されるので応援の意味も込めて課金しています(購入の言い訳です)。