01 研究概要
マウスを長時間起こしたままにしておくと、その後の睡眠はいつもより長くなります。脳の活動についても同じような現象が見られ、起きている間に大脳皮質が活発にはたらくと、その後の大脳皮質の眠りはより深くなります。私たちはこの「睡眠/覚醒の恒常性」に関心を持ち、個体の覚醒状況、そして大脳皮質の活動という2つの観点から研究をしています。
睡眠の恒常性制御の仕組みを理解するために、私たちはマウスを長時間覚醒状態に置いた後に睡眠をとらせ、睡眠/覚醒の制御に必須の脳部位で起こった変化を調べる実験を行っています。また、大脳皮質の活動に関しては、私たちは徐波というノンレム睡眠に特徴的な脳波に注目しています。徐波は睡眠要求の最もすぐれた指標であり、睡眠中に起こる記憶の固定化においても重要な役割を果たしていますが、そのような特徴的な波形が形成される神経基盤についてはまだよくわかっていません。現在私たちは視床にあるマトリックス細胞に解明の鍵があるのではないかと考え、徐波形成との関連を調べています。
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02 主な論文
Honjoh S, Sasai S, Schiereck SS, Nagai H, Tononi G, Cirelli C. Regulation of cortical activity and arousal by the matrix cells of the ventromedial thalamic nucleus. Nat Commun. 9, 2100 (2018)
Funk CM, Honjoh S, Rodriguez AV, Cirelli C, Tononi G. Local Slow Waves in Superficial Layers of Primary Cortical Areas during REM Sleep. Curr Biol. 26, 396-403 (2016)
Honjoh S, de Vivo L, Okuno H, Bito H, Tononi G, Cirelli C. Higher Arc Nucleus-to-Cytoplasm Ratio during Sleep in the Superficial Layers of the Mouse Cortex. Front Neural Circuits. 11:60 (2017)
03 経歴・受賞歴
経歴
2009 | 京都大学 大学院生命科学研究科 修了(Ph.D. in Life Science) |
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2009-2012 | 京都大学大学院生命科学研究科 博士研究員 |
2012-2015 | ウィスコンシン大学マディソン校 HFSP long-term fellow |
2015-2017 | ウィスコンシン大学マディソン校 JSPS海外特別研究員 |
2017 | 筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構 助教 |
受賞歴
2020 | 科学技術分野の文部科学大臣表彰 若手科学者賞 |
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2019 | 筑波大学若手教員奨励賞 |
2018 | TIDE Women’s Award in University of Tsukuba(奨励賞) |
2010 | The GE & Science Prize for Young Life Scientists, Japanese regional winner |
2009 | 井上研究奨励賞 |
2009 | 京都大学たちばな賞(優秀女性研究者賞、学生部門) |