01 研究概要
データ解析は、実験、理論、シミュレーションに次ぐ、科学の第四のパラダイムと認識されています。今日、科学におけるデータ解析の重要性はますます増大しており、睡眠医科学もその例外ではありません。これまで睡眠データの収集には特殊な計測機器や入院が必要でしたが、ITの進展により家庭で手軽に自分の睡眠データを計測することが可能になりつつあります。睡眠の見える化・データ化を実現するため、データサイエンス、データ工学の視点から睡眠の科学にアプローチしています。具体的には、日常的睡眠データ収集、データ駆動型の睡眠解析、生活習慣データ、検診・疾病データ等の様々なデータと睡眠データの連携解析等に関する研究を行っています。さらに、これらの研究の基盤技術を強化するため、ビッグデータ解析、データベース、データマイニング、機械学習等のデータ基盤技術の研究にも積極的に取り組んでいます。
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02 主な論文
Bou K, Kitagawa H, Amagasa T. CPiX: Real-Time Analytics over Out-of-Order Data Streams by Incremental Sliding-Window Aggregation. IEEE T Knowl Data En. 2021. Doi: 10.1109/TKDE.2021.3054898
Yamabe M, Horie K, Shiokawa H, Funato H, Yanagisawa M, Kitagawa H. MC-SleepNet: Large-scale Sleep Stage Scoring in Mice by Deep Neural Networks. Sci Rep 9: 15793. 2019. Doi: 10.1038/s41598-019-51269-8.
Papadimitirou S, Kitagawa H, Gibbons PB, Faloutsos C. LOCI: Fast Outlier Detection Using the Local Correlation Integral. 2003. Proc. 19th IEEE Int Conf Data En (ICDE 2003): 315-326. Doi: 10.1109/ICDE.2003.1260802
03 経歴・受賞歴
経歴
1978年3月 | 東京大学理学部物理学科卒業 |
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1980年3月 | 東京大学大学院理学系研究科物理学専門課程修士課程修了 |
1981年-1988年 | 日本電気(株)勤務 |
1984年-1985年 | 米国メリーランド大学客員研究員 |
1987年6月 | 理学博士(東京大学) |
1988年-1990年 | 筑波大学電子・情報工学系講師 |
1990年-1998年 | 同大学電子・情報工学系助教授 |
1998年-2004年 | 同大学電子・情報工学系教授 |
2001年-2002年 | 米国カーネギーメロン大学客員研究員 |
2004年-2021年 | 筑波大学計算科学研究センター教授 |
2012年-2014年 | 日本データベース学会会長 |
2021年-現在 | 筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構教授 |
受賞歴
2003年, 2008年 | 電子情報通信学会論文賞 |
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2006年 | 電子情報通信学会フェロー |
2006年 | 情報処理学会フェロー |
2010年 | Best paper award (iiWAS 2010) |
2013年 | 日本データベース学会論文賞 |
2015年 | Best paper award (CAiSE2015) |
2015年 | Best paper award (iiWAS 2015) |
2016年 | Best paper award (DEXA2016) |
2017年 | Best paper award (ICDIM2017) |
2019年 | 情報処理学会コンピュータサイエンス領域功績賞 |
2021年 | 情報処理学会論文賞 |
なぜ研究を志したのですか?
最先端技術に魅力を感じたから
私の研究領域はコンピュータサイエンス、その中でもデータベース分野です。大学に入学し授業を受ける中で、次第に学者・研究者に魅力を感じるようになりました。コンピュータは私が大学生だった頃の最先端技術の一つで、折しも国内の主要大学で情報専門学科や大学院が新設されつつある時期でした。最先端技術である情報技術について深く学び、新たな技術の研究開発に携わりたいと考え、情報分野の研究者になることを決めました。その中でもデータベース分野の研究にターゲットを絞ったのは、コンピュータサイエンスの中でも比較的新しい分野であり、大規模データを扱うデータベースシステムに魅力を感じたからです。今日、情報技術は人間のあらゆる活動の基盤であると同時に、社会を変革する大きな原動力になっています。特に、最近ではビッグデータ等データの重要性が広く認識され、データ解析や大規模データに基づく学習により実現されるAIの活用があらゆる分野で積極的に進められています。これまで40年以上にわたってデータベース研究に携わってきましたが、研究を通して、多くの人々、研究課題、学問分野との出会いがありました。睡眠医科学と巡り会えたのも、データベース研究を行ってきたことによります。データに関する専門性を活かして、これからも様々な研究課題に取組み社会に貢献していきたいと考えています。
研究室の「ウリ」はなんですか?
データを中心としたコンピュータサイエンス
我々の研究室の最大の特徴は、研究を進めるための技術的バックグラウンドが、データを中心としたコンピュータサイエンスであるということです。今日、データの重要性は広く認識され、様々な研究開発を進める上で、大規模なデータを活用したアプローチがとられるようになっています。睡眠医科学においても、データ解析、データ管理、機械学習や深層学習の応用等、データに関わる技術を開発・活用することで、研究を加速し高度化すると共に、研究成果の実用化を進められています。我々の研究室では、計算科学研究センター等とも連携して、このような技術の研究開発に取り組んでいます。これまでに、マウスやヒトの脳波や筋電等の睡眠生体データを用いた睡眠ステージ判定や睡眠特徴抽出を、深層学習を用いて自動化する手法の開発等を行い、一部の技術は実用化されつつあります。データベース、データ解析、データマイニング等のデータ基盤技術や、睡眠研究におけるその活用に興味ある方、相談したい方は、気軽にコンタクトして下さい。
最近ハマっているものは?
鉄道模型
最近ではないのですが、幼少の時より鉄(道)にハマり続けています。鉄の道も、撮り鉄、乗り鉄、音鉄等いろいろあります。大分以前には、鉄道写真を撮りに全国を旅したこともありますが、最近は主に模型です。時間ができたらジオラマを作って、手持ちのお気に入りの車両を走らせてみたいと思います。