斉藤 毅Tsuyoshi Saitoh

所属:筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構

研究テーマ

創薬化学

Gタンパク質共役型受容体を標的とした創薬・ケミカルバイオロジー研究

01 研究概要

斉藤グループでは、化学を基盤として生物学、医科学へ貢献する革新的分子を創製することを目的に研究を行っています。特に、医薬品の約30%が標的にしているGタンパク質共役型受容体 (GPCR) をキーワードとして、創薬研究ならびにその機能の人為的制御を目指したケミカルバイオロジー研究を行っています。具体的には、睡眠覚醒、情動に関与するオレキシン受容体や痛み、情動に関与するオピオイド受容体などを標的した創薬研究を通じ、世界初となる医薬分子の開発を行っています。また、独自に開発した薬物分子や化学反応と最新の生物学的手法を組み合わせ、「生体機能を可視化するケミカルプローブ」や「自在に薬物の活性を制御する光薬理学プローブ」などの分子ツールの開発も行っています。

研究室サイト
沓村・斉藤研究室メンバー

沓村・斉藤研究室メンバー

02 主な論文

T. Saitoh, M. Amezawa, J. Horiuchi, Y. Nagumo, N. Yamamoto, N. Kutsumura, R. Oshita, A. Tokuda, Y. Irukayama-Tomobe, Y. Ogawa, Y. Ishikawa, E. Hasegawa, T. Sakurai, Y. Uchida, T. Sato, H. Gouda, R. Tanimura, M. Yanagisawa, H. Nagase “Discovery of novel orexin receptor antagonists using a 1,3,5-trioxazatriquinans bearing multiple effective residues (TriMER) library” European Journal of Medicinal Chemistry, 2022.

K. Iio,† T. Saitoh,† R. Oshita, T. Hino, M. Amezawa, Y. Takayama, Y. Nagumo, N. Yamamoto, N, Kutsumura, Y. Irukayama-Tomobe, Y. Ishikawa, R. Tanimura, Yanagisawa, H. Nagase “Discovery of Orexin 2 Receptor Selective and Dual Orexin Receptor Agonists based on the Tetralin Structure: Switching of Receptor Selectivity by Chirality on the Tetralin Ring” Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters, 2022, 59, 128555. († co-first)

H. Hino,† T. Saitoh,† Y. Nagumo, N. Yamamoto, N, Kutsumura, Y. Irukayama-Tomobe, Y. Ishikawa, R. Tanimura, Yanagisawa, H. Nagase “Design and synthesis of novel orexin 2 receptor agonists based on naphthalene skeleton” Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters, 2022, 59, 128350. († co-first)

T. Nagahara, T. Saitoh, N. Kutsumura, Y. Irukayama-Tomobe, Y. Ogawa, D. Kuroda, H. Gouda, H. Kumagai, H. Fujii, M. Yanagisawa, H. Nagase “Design and Synthesis of Non-Peptide, Selective Orexin Receptor 2 Agonists” Journal of Medicinal Chemistry, 2015, 58, 7931–7937.

03 経歴・受賞歴

経歴

1984年 茨城県生まれ
2007年 慶應義塾大学 理工学部 化学科 卒業
2012年 慶應義塾大学 基礎理工学研究科 博士課程修了, 博士(理学)
2011年 - 2013年 慶應義塾大学 理工学部 化学科 助教
2012年 Johanes-Gutenberg University in Mainz 訪問研究員
2013年 - 現在 筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構 助教
2022年 - 現在 筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構 主任研究員・准教授

受賞歴

2011 慶應義塾大学 藤原賞
2013 有機電気化学奨励賞
2015 日本薬学会メディシナルケミストリーシンポジウム優秀賞
2016 日本化学会第96春季年会 優秀講演賞(学術)
2017 Highly Read Article of 2015 in Journal of Medicinal Chemistry
2017 筑波大学 若手研究奨励賞
2019 Reaction Chemistry & Engineering poster prize at SelectBIO Flow Chemistry Asia 2019, Royal Society of Chemistry

もっと知りたい!Q&A もっと知りたい!Q&A

なぜ研究を志したのですか?

小さな頃からの夢でした

幼い頃から科学に関する児童書を読み漁っていて、世の中の不思議を探求することに漠然とした憧れを持つようになったのがきっかけです。大学には当時活気づいていたポストゲノム研究をしたいと思って入学したのですが、思いのほか”大学生活”が楽しくて、大人気だった生物系の学科には入れず想定外の化学科に配属されました。しかし、留年回避のために必死で化学を学ぶうちに、現実世界を支配するナノの世界の化学現象に魅了されていき、化学で生物を自在に操る研究をしたいと思うようになりました。両親が教育者だったこともあり教育にも大変興味があったので、大学で学生さんたちと一緒に夢を追いかけるという道を選び、今があります。

研究室の「ウリ」はなんですか?

世界にない新しい分子を自分の手で作り出せる

化学は世の中にないものを自分の手で生み出すことの出来る数少ない学門です。そのため、誰かが思いついた分子やすでに存在する分子だけを作るなんてもったいないと思っています。私の研究室では、「化学で生物を自在に操る」という基本概念の下、「こんな分子を作ってみたい!」という好奇心を大事にしているので、自由な発想で研究をしてほしいと思っています。自由な発想には、しっかりとした知識/経験と広い視野、心の余裕が必要なので、化学教育だけでなくグループ内や異分野研究者とのコミュニケーションの機会も積極的に作っています。

最近ハマっているものは?

ラーメンとビールです。つくば周辺はラーメン王国で、365日3食ラーメン屋に行っても、全メニュー制覇が難しいと言われる程です。すでにほぼすべてのラーメン屋に訪れることはできたので、次は全メニュー制覇が目標です。あとはビールですね。ドイツに留学したことをきっかけにビールにはまり、海外や地方に行っては現地のビールを飲んで勉強しています。