戸田 浩史Hirofumi Toda

所属:筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構

研究テーマ

基礎生物学

眠気の実体を探る〜ショウジョウバエを用いた睡眠研究

01 研究概要

睡眠は種を超えて動物界に保存された行動であるにも関わらず、その機能や機構は、驚くほど謎に包まれています。その理由の一つには、「どのような遺伝的制御を受けて睡眠が調節されているのか?」が理解されてこなかったためです。 私たちのグループは、遺伝学的操作や遺伝子探索を遂行するのに非常に適しているショウジョウバエを用いて、睡眠研究を行っています。例えば、「睡眠がどのような分子制御を受け誘引されるのか?」という疑問に答えるため、ショウジョウバエの睡眠行動検定法を用い、12,000系統以上のショウジョウバエ系統から睡眠誘引遺伝子の探索を行った結果、新規遺伝子を同定することに成功しました。 この遺伝子は短いペプチドをコードする分泌型の遺伝子で、我々はこの遺伝子を”nemuri”と名付けました。Nemuriは抗菌性活性を持ち、細菌感染時に引き起こされる睡眠に重要な役割をしていることから、nemuriは睡眠と免疫を結びつける遺伝子であると考えられます。また、哺乳類にもnemuri遺伝子が保存されているのか、という問いに答えるため、ヒト遺伝子を網羅的にショウジョウバエに発現させ、睡眠への影響を観察する試みを行います。 これまでの遺伝学、生化学、行動学的手法に加え、分子イメージングなどを駆使しながら睡眠研究を進めていく事で、「眠気」が脳でどのように表現されているのかの解明に突き進んでいきたいと考えています。

研究室サイト

02 主な論文

A sleep-inducing gene, nemuri, links sleep and immune function in Drosophila. Toda H, Williams JA, Gulledge M, Sehgal A. Science. 2019 Feb 1;363(6426):509-515. doi: 10.1126/science.aat1650.

The Drosophila female aphrodisiac pheromone activates ppk23(+) sensory neurons to elicit male courtship behavior. Toda H, Zhao X, Dickson BJ. Cell Rep. 2012 Jun 28;1(6):599-607. doi: 10.1016/j.celrep.2012.05.007. Epub 2012 May 24.

UNC-51/ATG1 kinase regulates axonal transport by mediating motor-cargo assembly. Toda H, Mochizuki H, Flores R 3rd, Josowitz R, Krasieva TB, Lamorte VJ, Suzuki E, Gindhart JG, Furukubo-Tokunaga K, Tomoda T. Genes Dev. 2008 Dec 1;22(23):3292-307. doi: 10.1101/gad.1734608.

03 経歴

2004年−2009年 筑波大学大学院生命環境科学研究科(理学博士)
2010年-2013年 オーストリア 分子病理学研究所 博士研究員
2013年-2016年 ハワードヒューズ医学研究所/ペンシルベニア大学 リサーチ・アソシエイト
2016年-2019年 ハワードヒューズ医学研究所/ペンシルベニア大学 リサーチ・スペシャリスト
2019年-現在 筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構 助教(現職)

もっと知りたい!Q&A もっと知りたい!Q&A

なぜ研究を志したのですか?

新たな発見をするのが楽しいから。

自分が今まで知らなかったことを知るようになるというのは、とても面白いものです。まして、それが自分の手で明らかにすることができたら、なおさらです。 幼いころから、多様な生き物がもつ様々な仕組みに魅せられてきました。現在では分子生物学の発展のおかげで、その生命体の仕組みが、分子レベルで語られるようになってきました。しかし、明らかになっている生命現象というのは、ほんの一部です。生命科学の面白い発見は、まだまだこれからで、自分がこの分野に貢献できると思った、というのも生命科学研究者を志した理由の一つです。

研究室の「ウリ」はなんですか?

ショウジョウバエの分子遺伝学。

研究室には学部生、大学院生、実験補助員、博士研究員など様々な立場の人がいます。また、立場が同じでも人それぞれ個性があり、興味も異なれば、問いに対するアプローチの仕方も異なってきます。 ショウジョウバエの分子遺伝学を得意技としていますが、それぞれのテーマに合わせ、分野横断的に様々なテクニックを駆使して、本当に面白い研究をすることを重要視しています。

最近ハマっているものは?

家族と過ごす事。

子供が生まれてから家族との時間が特に大切です。それまでは、クラシック音楽を聴いたり、カフェ探索をしたり、一人で美術館に足を運んだり、妻と演奏会に行ったりするのが楽しみでした。欧州に住んでいた時は、フットサルをよくして楽しんだものです。学部、大学院を過ごした筑波では毎週、柔道の授業に紛れ込んで参加し、黒帯を取得しました。折角、筑波に戻ってきたので、再開したいですが難しそうです。