飯野 祐介Yusuke Iino

所属:筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構

研究テーマ

データサイエンス

脳の状態と学習・意思決定の仕組み

01 研究概要

私たちは日々、経験から学び、次に何をするかを選んでいます。しかし、睡眠不足や心の不調によって、いつもならできる判断が難しくなることがあります。私たちの研究室では、脳の状態によって学び方や選び方が変わる仕組みを調べています。

マウスが報酬を得るために選択を繰り返す実験と、行動を数式で表すモデルを組み合わせ、「経験からどのように学ぶか」「学んだことを選択にどう生かすか」を分けて考えます。さらに、脳の細胞の活動や、ドーパミン・セロトニンなどの情報を伝える物質の働き、細胞同士のつながりに注目し、学習と意思決定を支える仕組みを明らかにします。睡眠不足や精神疾患に伴う判断の難しさを理解し、機能の回復につながる新しい介入法を見つけることを目指しています。

研究室サイト

02 主な論文

Sawada T, Iino Y, Yoshida K, Okazaki H, Nomura S, Shimizu C, Arima T, Juichi M, Zhou S, Kurabayashi N, Sakurai T, Yagishita S, Yanagisawa M, Toyoizumi T, Kasai H, Shi S (2024) Prefrontal synaptic regulation of homeostatic sleep pressure revealed through synaptic chemogenetics. Science 385(6716): 1459-1465. doi:10.1126/science.adl3043

Yamaguchi K, Maeda Y, Sawada T, Iino Y, Tajiri M, Nakazato R, Ishii S, Kasai H, Yagishita S (2022) A behavioural correlate of the synaptic eligibility trace in the nucleus accumbens. Sci. Rep. 12(1): 1921. doi:10.1038/s41598-022-05637-6

Ucar H, Watanabe S, Noguchi J, Morimoto Y, Iino Y, Yagishita S, Takahashi N, Kasai H (2021) Mechanical actions of dendritic-spine enlargement on presynaptic exocytosis. Nature 600(7890): 686-689. doi:10.1038/s41586-021-04125-7

Iino Y, Sawada T, Yamaguchi K, Tajiri M, Ishii S, Kasai H, Yagishita S (2020) Dopamine D2 receptors in discrimination learning and spine enlargement. Nature 579(7800): 555-560. doi:10.1038/s41586-020-2115-1

03 経歴・受賞歴

経歴

2013年 東京科学大学 医学部医学科 卒業
2019年 東京大学大学院 医学系研究科 博士課程修了、博士(医学)
2019–2020年 東京大学大学院 医学系研究科附属疾患生命工学センター 構造生理学部門 特任研究員
2020–2021年 同 助教
2022–2025年 初石病院 精神科後期研修プログラム
2022–2026年9月 筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構 研究員
2026年10月–現在 筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構 特任助教・co-PI

受賞

2017年 第44回内藤カンファレンス 優秀ポスター賞
2026年 第39回東京科学大学医科同窓会研究奨励賞

もっと知りたい!Q&A もっと知りたい!Q&A

なぜ研究者を志したのですか?

「人はなぜそう考え、行動するのか」を脳から理解したかったから

「人はどうしてそのように考え、行動するのか」という問いを、脳の仕組みから理解したいと思ったからです。経験によって考え方が変わったり、心身の状態によって選択が変わったりすることに関心があります。精神科医としての視点も生かしながら、こうした身近な疑問を実験で確かめ、精神疾患の理解にもつなげたいと考えています。

研究室の「ウリ」はなんですか?

身近な「学び」と「選択」を、脳の細胞レベルまで掘り下げられること

「経験から学び、次の行動を選ぶ」という身近な働きを、脳の細胞や、細胞同士のつながりまで掘り下げて調べられることです。マウスが自分で選択する実験を工夫し、そのとき脳で何が起きているかを小型の顕微鏡などで観察します。さらに、特定の細胞の働きや細胞同士のつながりを変え、学び方や選び方がどう変わるかを確かめます。精神科医としての視点も生かし、睡眠不足や精神疾患でこうした働きがうまくいかなくなる理由と、それを回復させる方法を探っています。

最近ハマっているものは?

エレキギター!

エレキギターです。速弾きが好きで、メタルやジャズ・フュージョンをよく弾いています。楽器を演奏する方、ぜひ一緒にセッションしましょう!