
2026.10.09
Koustav Roy特任助教が第59回日本てんかん学会学術集会でYES-Japan英語口演賞を受賞しました
筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-IIIS)Lazarus/Oishi研究室のKoustav Roy特任助教が、2026年10月1日~3日に新潟県・朱鷺メッセで開催された第59回日本てんかん学会学術集会において、Young Epilepsy Section(YES)-Japan 英語口演賞を受賞しました。
Young Epilepsy Section(YES)は、てんかん患者のケアやてんかん研究に携わる若手研究者・医療従事者による、国際抗てんかん連盟(ILAE)の世界的な組織です。
発表タイトル:「A novel antiseizure intervention based on allosteric modulators of adenosine A2A receptors (A2AR)」(アデノシンA2A受容体(A2AR)のアロステリックモジュレーターに基づく新規抗てんかん介入法)
てんかんは世界で4番目に多い神経疾患で、約5,000万人が罹患しているとされています。また、現在使用されている抗てんかん薬では、少なくとも30%の患者で十分な発作コントロールが得られていません。アデノシンシグナルは、睡眠や神経細胞の興奮性の調節に関与することが以前から知られています。
研究チームはこれまでに、側坐核におけるA2ARが睡眠・覚醒の制御に重要な役割を果たすことを明らかにし、A2ARのポジティブアロステリックモジュレーター(PAM)であるA2ARPAM-1を開発し、不眠症に対する治療候補として研究してきました。
今回の研究では、ペンチレンテトラゾール(PTZ)誘発性けいれんモデルを用い、A2ARPAM-1の前投与による発作への影響を検討しました。その結果、A2ARノックアウトマウスではPTZ投与により約80%が死亡し、A2ARシグナルが抗けいれん作用に関与する可能性が示されました。これは、これまでの報告とは異なる知見です。
さらに、A2ARPAM-1を前投与すると、全身に及ぶけいれん発作の重症度が有意に低下し、発作持続時間の短縮や、脳波(EEG)記録におけるてんかん性スパイク頻度の低下が認められました。また、全身性のけいれん発作後に持続する高振幅の脳波活動を特徴とする発作後抑うつ状態も、A2ARPAM-1の前投与によって大幅に軽減されました。
これらの結果から、A2ARシグナルがこれまで十分に認識されていなかった抗けいれん作用を持つことが示されるとともに、A2ARPAM-1が重症てんかんに対する有望な治療候補となる可能性が示されました。
| 第59回日本てんかん学会学術集会 |
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