2022.12.29

IIISの研究員ら2名が「松尾研究奨励賞」を受賞

    筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-IIIS)の高橋徹研究員(櫻井/平野研究室)と、人間総合科学研究学群医学学位プログラム3年の李若詩さん(同)が、第17回GPCR(G タンパク質共役型受容体)研究会で、若手研究者の育成を目的とした「松尾研究奨励賞」を受賞しました。
    ヒト遺伝子約35,000 種類の中でG タンパク質共役型受容体は約620 種類存在し、そのうちの約100 種類は未だに内因性リガンドが不明なオーファン受容体だと考えられています。G タンパク質共役型受容体と内因性リガンドの解明は、未知の生命現象を解明する第一歩とされ、GPCR研究会はそれに焦点を当てた学会として2004年に発足し、毎年開催されています。
    研究会では高橋さんは「改変型OPN4による冬眠様状態の光遺伝学的誘導」を題とした発表を行い、「高感度なGPCR型光センサーであるOPN4(オプシン4、メラノプシン)と低出力レーザー光(3μW)を用いQニューロンを興奮させたところ、少なくとも 24 時間、安定的かつ再現性よく冬眠様状態QIHを誘導できたほか、高い時間分解能でQIHを制御することも可能となる」という成果を発表しました。同手法を駆使して、睡眠、日内休眠、冬眠などの長期に及ぶ行動の基盤となる神経機構を解明することが期待されます。
    一方、李さんは「視交叉上核ガストリン放出ペプチド(GRP)産生ニューロンのサーカディアンリズム形成における役割の解明」を題とした発表で、マウスモデルを用い、概日リズムを司る視床下部視交叉上核(SCN)という脳領域に存在するガストリン放出ペプチド(GRP)産生ニューロンの概日リズム制御への関わりを示しました。
    またGRP産生ニューロンは、概日リズム形成には大きな影響を与えないが、マウスの光同調に必須であるという、GRP産生ニューロンの生理的役割も初めて明らかにしました。
    第17回GPCR研究会は2022年11月18~19日に筑波大学IIISで開催され、2人のほか、東京大学や東北大学からの参加者の計5人が受賞しました。

李若詩さん

第17回 GPCR研究会

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