01 研究概要

 睡眠は1日のうちで、食事間隔が最長となる時間帯と重なる。しかし、睡眠時のエネルギー代謝は単に絶食時の安静時代謝の延長ではない。全身のエネルギー消費は入眠後に一気に低下し、その後も減衰を続けるが、起床の2−3時間前から上昇に転じる。またこの経時変化には男女差があり、睡眠時エネルギー代謝の上昇開始は男性に比べて女性の方が2時間程早い。エネルギー代謝の調節と睡眠の制御についての最近の知見は、両者が調節因子を共有して恊働していることを示している。睡眠とエネルギー代謝との密接な関連を意識し、新たな睡眠導入剤やダイエットの評価においても睡眠とエネルギー代謝の両面から検討することが重要であると考えて研究を進めている。

研究室サイト

02 主な論文

Tokuyama,K., Ogata H, Katayose Y, Satoh M. Algorithm for transient response of whole body indirect calorimeter: deconvolution with a regularization parameter. J Appl Physiol 106: 640–650, 2009.

Iwayama K, Kawabuchi R, Park I, Kurihara R, Kobayashi M, Hibi M, Oishi S, Yasunaga K, Ogata H, Nabekura Y, Tokuyama K. Transient energy deficit induced by exercise increases 24-h fat oxidation in young trained men. J Appl Physiol. 118:80-85, 2015.

Kayaba M, Park I, Iwayama K, Seya Y, Ogata H, Yajima K, Satoh M, Tokuyama K. Energy metabolism differs between sleep stages and begins to increase prior to awakening. Metabolism 69:14–23, 2017.

03 経歴

1983年4月1日~1983年12月31日 南カリフオルニア大学博士研究員医学部
1984年1月1日~1986年8月31日 オタワ大学博士研究員理学部
1986年9月1日~1988年3月31日 スワスモア大学博士研究員理学部
1988年4月1日~1992年9月30日 大阪樟蔭女子大学助教授学芸学部
1992年10月1日~1997年3月31日 筑波大学講師体育科学系
1997年4月1日~2004年3月31日 筑波大学助教授体育科学系
2004年4月1日~2007年3月31日 国立大学法人筑波大学大学院助教授人間総合科学研究科
2007年4月1日~2011年3月31日 国立大学法人筑波大学大学院准教授人間総合科学研究科
2011年4月1日~現在 国立大学法人筑波大学大学院教授人間総合科学研究科

もっと知りたい!Q&A もっと知りたい!Q&A

なぜ研究を志したのですか?

スポーツに熱中するのと同じでした。理由は走りながら考えました。

研究はスポーツと同じ面白さがあり、その多くは実験から論文執筆まで共同作業から成り立っており、チームワークに支えられている点もスポーツに似ています。ヒトを対象とした研究をしていると、誰かの役に立っているという実感を得易いように最近感じています。

研究室の「ウリ」はなんですか?

ヒューマン・カロリメータ

マスクやマウスピースを使わずに呼気を採取してエネルギー代謝を測定するエネルギー代謝測定用の密閉室を用いて、長時間に亘る代謝測定を精密に行っています。この装置を2003年に設置しましたが、それまでの国際標準の分析機器の10倍の感度をもつ磁場型の質量分析機を導入し、ノイズ除去アルゴリズムも独自に開発して世界最高水準の時間分解能を誇る装置を完成しました。筑波大学の装置が後に続く日本や中国の研究機関の標準仕様になりましたが、これが更に、欧米の研究施設の標準仕様になるはずだと考えている。

最近ハマっているものは?

東南アジア

数年前に初めてアジアの国々へ出張し始めました。我々と似た顔の方が多いのですが、全く読むことの出来ない文字を使っている国々があり(韓国、タイなど)、最近の日本が失ってしまった勢いや、懐かしい昔の日本を想起させてくれる国々もあります。食文化の多様性もアジアの魅力の一つです。